アメリカで組織に属していた時と、帰国して個人事業主として働きはじめた時、そして法人成りをしてから一番かわったことは何か、と言われたらおそらく、「お金に対する意識」。
簡単にいうと、「そのお金をなぜ使うのか」が明確になりました。
目次
思い出したきっかけはMacをどんな構成にするか
このお金に対する意識が明確になったなぁと感じたのは、先日、仕事で新しいことを始める環境を整えるためにiMacのデスクトップを注文した時のこと。
その時にいろいろと悩んだのです、どういうスペックにするか、と。
値段を見れば決して安くはありません。そのままでも充分高性能ですが、本当に自分がやろうとすることをストレスなく行うためには追加料金を支払ってもう少しよい構成にする必要がある。
となると・・・
と考え結局ハイスペックモデルの構成を変えて、もう少しよい環境を整える形で発注をしました。いまはその商品が届くのを待っている段階。
この時に、お金に対する意識がずいぶん変わったなぁ、と思ったのです。
残高が減るのが怖かった…
いままで、ぼくの経歴をご存知の方やこのブログを御覧頂いている方はご存知かと思いますが、アメリカのスポーツ現場でアスレティックトレーナーとして働いていました。
楽しかったです。
やりがいもすごくありました。
自分の好きが形になったものでもありました。
でも、金銭的見返りはほとんどありません。大学院を出て修士号まで取っているのに。
そのあたりのことはコチラのエントリーに書いています。
ただ、現実問題として働けど働けど、そして自分がどんなに経験を積んで自腹で勉強して知識や技術を磨いてもそれが対価として全く反映されない、となると最初は良くても徐々に
「プロって、専門家ってなんだ?!?!」
と嫌でも考えるようになりました。
今の自分の考え方はこちらに書いてあります。
もちろん好きでやっている仕事だから、お金じゃない。だけどお金じゃない、という綺麗事で逃げているのではないか、と。
異国で暮らす30代。残高がいつまでも増えず、このペースで働くっていつまで出来るのだろうなぁ、、、なんて考えていました。
このときは「何かあったときのために、使わずに貯めておかないと」という意識が強くありました。
なるべくお金のかからないことをする。
そもそも仕事ばかりで、リラックスする間もなかった時期ではありましたがそれでも幸い、最後の数年間はハワイという土地だったのでちょっと出れば海がありお金がかからないというのは助かる環境でした。
そこから数年たって帰国して、個人事業主として活動をはじめます。
お金ってなかなか入ってこないなぁ−、という意識の個人事業主スタート時代
日本に戻り個人事業主として活動する時にはやはり不安がありました。
「やっていけるのかなー」と。
多分誰もが持っている不安です。
ただ、自分は30半ばで帰国して一からのスタート。
結婚をする予定もありましたし、呑気なことは言っていられない。
「できるかなぁ、じゃない。やるんだよ」の精神です。
とはいえ、自分が行っていたのは「ロルフィング」というあまり知られていないボディーワーク。いまでこそ、筋膜だなんだ、ということでちょっとは知られていますがそれでもまだまだマニアな領域。
https://kukunabody.com/rolfing/
どうやってビジネスとして成立させるか、なんていうビジネスのビの字も知らないような自分でした。
でもどこかで、「アメリカでも実績を積んできたし、ロルフィングはこんなに素晴らしいものだし、どうにかなるでしょ!」なんて思っていたのも事実です。
あの頃の自分に100メートル先から全力でダッシュして豆腐を顔にぶつけたい。
そんなものだから、最初は全くと言っていいほどうまくいきません。スケジュールが真っ白なんていう日が続きました。ようやく入った予約も連絡なくドタキャンされて、打ちひしがれていたこともありました。
アラフォーにもなって何やっているんだろうなぁ…と本当に暗い気持ちになりました。
お金稼ぐってたいへんだなぁ、、、と。
そのあたりのことはこちらのnoteで自分のスタートから法人成りした現在までをまとめて書いています。
そこから展開が開けていったのは
- ビジネスってなんだ?
- 商売ってなんだ?
- お金ってなんだ?
- 自分がこの仕事をしている意味ってなんだ?
- なんで自分はこういう仕事を選んでいるんだ?
- なんでこんな思いまでしてこれを続けているんだ?
- うまくやっている人との違いはなんだ?
- 自分は何が出来ているんだ?
- 自分は何が出来ていないんだ?
ということに向き合い始めてからでした。
生活に困らないくらいお金が入ってくるようにはなった個人事業主2年目以降
個人事業主として活動をし始め、オフィスの家賃を払い、結婚をし、家の家賃も払い、生活費も入れて、その上で自分の好きなことをできる、という形ができるようになったのは2年目くらいからでした。
とはいえ、悠々自適、というわけではなくその時々で大変な時もあったわけですが、それでも比較的自分の好きなことを仕事にして、自分の好きなライフスタイルを構築していくことが出来たのは早かったと思います。
その頃は、ある程度お金が入ってくる流れを漠然とですが信頼出来るようになっていたようにおもいます。
自分がおかしなことをしていなかったら、まだまだ細い川の流れのようだけれど、届けられるものがあるのだなぁ、という感じです。
そうは言っても、「自分がやりたいことを押し通すのではなく、相手が求めることを提供することが商売の基本」という、基本中の基本が腑に落ちるのはもうちょっと先の話になります。
でもこの「お金が入ってくる流れを信用できるようになる(まだ小さいけど)」という感覚はとても救われたのを覚えていますし、今もその感覚は大切にしています。
「入ってこないかも」と思うから貯めよう・留めようとしてしまう。だけど、入ってくることが感覚的にでも・少額であったとしてもわかっているのであれば、そんな恐怖心を感じることはないから。
日本に住んでて「明日水道が出ないかもしれないから、使わないようにしよう」なんて思ってないですよね?
それと一緒。
お金は使わないと入ってこないということに気づいた個人事業主3年目以降
実は個人事業主としての時間はあまり長くなく、5年ほど。その後法人成りをしました。
3年目以降に気づいたこととしては、「お金は貯め込もうとするとうまくいかないから、使うべき時にはつかわないといけない」ということでした。
これは無駄遣いを推奨しているわけでは決してありません。
使う意識をもっていないと、支払う側の感覚をどんどん個人事業主は失っていってしまうなぁ、というのを理解し始めたころでした。
うまく行っていないときは、どうやったら売上を立てるか、ばかりを考えてしまいがち。でもそれって、人の財布からお金を奪うことしか考えていないような状況ですよね。
そんな人に自分だったらお金を払いたいか、というとそんな訳はありません。
売上は大切です。でも売上を立てるために仕事をしているわけではなくて、お客様の問題解決に貢献することで対価として売上が立つ、というシンプルな図式。
でもこんなことですら「提供する側」にたつことに慣れてしまうと忘れてしまうのです。
実際これに気づいていない個人事業主の方はたくさんいます。早く気づいて!
法人成りをしてから気づいたこと
その後、紆余曲折はありながらもありがたいことにお仕事が軌道にのって、開業してから5年目に法人成りをしました。
法人成りをしてから気づいたこと。
それは・・・
「お金めっちゃ出てく・・・(ワロタ)」
でした(笑)。
事業形態としては原則、そのままの事業内容にプラスαしてるだけなので、なにか特別に設備投資をしているわけでもありません。またオフィスも個人事業主の頃から借りているものでしたので変わりはありません。
ご存知のかたもいらっしゃると思いますが、法人設立1週間前に一緒に会社をやっていこう!と頑張っていた妻が乳がんになっていることがわかり、闘病・看病生活とともに幕開けの法人活動。
わからないことだらけでスタートして、お金がどこから入ってきて、どう出ていくということが認識しきれていなかったのも原因の一つだと思います。
そもそもお金の入り方の流れは個人事業主と法人代表とでは大きく異なります。
個人事業主は、日々の売上から生活費を捻出し、3月に確定申告で税金を支払うという流れですが法人経営者となると、役員報酬、要は月のお給料になります。
それに対して毎月社会保険料も支払うことになるので、まるっきりお金の出入りの仕方がかわります。税金も前年度の収入から割り振られますのでそれなりの額を支払うことになる。
そのあたりの認識がまだまだ甘かったのと、考える余裕もなかったというのが正直なところ。
だけど、「どうにかなるか」という気持ちでいられたのは、個人事業主時代に気づいた「小さくてもお金が入ってくる流れを信頼できるかどうか」というのがあったから。
現在も色々と課題はありますし、21世紀に名を残すような渋谷に本店を構えるIT会社のような勢いも、月に個人旅行でいくような社長を持つ会社のような地力もまだまだありませんが、それでも楽しいです。ワクワクしています。
これからどんな未来が築けるのか。どんな未来を自分たちと関わってくれる人たちと一緒に描いていけるのか。
好きな人達と仕事をすることが出来ているのは本当にありがたく、お陰様です。
法人成りしてから強くなったお金に対する考え方
冒頭の話に戻りますが、一番かわったのは「お金に対する意識」です。
お金に対する意識は
使いたくない(組織時代)
↓
お金入ってこない(個人事業主スタート時代)
↓
使うべき時には使わないと(3年目以降)
↓ 【お金の流れを意識し始め、信頼しはじめる】
めっちゃ出てく(笑)(法人スタート時)
という変遷をたどってきました。
そしていまは、どのようにお金に対して考えているか、というと。
・そのお金を使うことでどんな未来(成果・結果)を得ようとしているか
この1点に集約されます。
無駄遣いを奨励するわけではありません。使えばいいってわけでもありません。
だけど、「なぜそれに対して使い、それから何を得るのか」ということが明確にならなければお金は使わないし、それが明確ならば予算オーバーでも調達する、ということを意識しています。(もちろんどうひっくり返っても無理なものは無理ですが)
それが冒頭のiMacの話にも繋がります。
金額だけをみたら数十万円になる買い物です。できれば安く済ませたい、と思うのが普通のことでしょう。
だけど、遊びで使うならともかく用途は仕事です。
いったいこれからどれだけの仕事を生み出し、そこからリターンを得ようとしているのか、と考えたら数十万円なんて1つ企画や商品を考えたら簡単に元がとれるような値段です。
それなのに、スペックをあげるために数万円安くすることで仕事のスムーズさ削るとなると本末転倒になります。
繰り返しになりますが、無駄遣いを推奨するわけではありません。
お金がない、と感じているときはなかなか使う意識にはなれないけれど、事業主であるならば金額だけで物事をかんがえるのではなく、そこから自分がどのようなリターンを得るか。それに焦点をあてること。
そのリターンは与えられるものではなく、自分から取りにいくもの。
そうすると、自分の支出に対して全て納得がいくし、それを活かそうと積極的に自発的に動きます。
なぜなら、事業をしていくうえでの売上というのは、自分の懐に入るものではなくて次のご利用機会、または次のお客様のために還元していくものだから。
そんなお金に対する意識の変遷が、参考になれば幸いです。
こんなツイートを見つけたことが今日の記事を書いたきっかけでした↓
僕は10年前に20万円する靴に魅了されて、無茶苦茶な値段だから散々悩んだ末に結局カードで買ったんですが、その靴屋に呼ばれたパーティーで妻と出会って今では子供達にも囲まれて幸せに暮らせているし、その時の靴も今も色あせず美しいので、お金をいつ何に変えるかは大事だなと思います^ ^
— YusukeSumi (@YusukeSumi) October 4, 2018
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それではまた
森部高史