プロってなんだろう。専門家ってなんだろう、とはよく様々なところであがる問いかけです。
あなたにとっての「プロ」「専門家」とはなんですか?
目次
腕や知識があることがプロの条件ではない
ツイッターを眺めていたらこのツイートが目に入ってきました。
「うまいこと」がプロの条件ではありません。「成果物でカネを取れること」がプロの条件です。したがって、「カネにならないことに延々時間をかける」のはプロの行為ではない。
もちろん、アマチュアとプロ、どちらが偉いということはありません。創作に貴賎はないのですから。— バーバラ・アスカ (@barbara_asuka) 2018年3月23日
「すごくうまいけれど、食えてない人」はゴマンといる。成果物をお金にできない人はさすがにプロとは呼べない。「うまいアマチュア」だ。創作で食える食えないは偉い偉くないとは関係ないけれど、創作で食いたいなら「成果物をカネに換える」ことをしなければならない。それはうまいへたとは別の話です
— バーバラ・アスカ (@barbara_asuka) 2018年3月24日
どーも、周囲を見ていると(特に音楽関係)、「プロになりたーい!」と言ってみなさんが登っている山が「違う山」のように見えてならない。岡目八目というやつで、業界にいないからこそわかるのだ。「うまい山」でなく「お金に換える山」に登らないと、頂上に立っても一文無しという事態になるのです。
— バーバラ・アスカ (@barbara_asuka) 2018年3月24日
プロとは、お金を生み出せること
いかがでしょうか?
このバーバラ・アスカさんは作家、編集者、プロデューサーとして活動をされているそうですが、これってトレーナー、インストラクター、セラピスト業界においても同じことが言えると思いませんか?
この数年で、身体にまつわる仕事は10年前とは比べ物にならないくらい増えました。
パーソナルトレーナー、アスレティックトレーナー、ストレングス&コンディショニングコーチ、ヨガインストラクター、ピラティスインストラクター、ジャイロトニック、フェルデンクライスプラクティショナー、アレクサンダーテクニーク、そしてロルフィングなどのボディーワークなどなど。
こういった、職種が増えたことにより、フリーランスという名目で個人事業主として活動している人も大幅に増えました。
それってとても素晴らしいこと。
これだけ忙しい現代社会において、身体を壊している人、ひいては心のバランスを崩してしまっている人が多い。そういった状況のなか、現実を動かすときの乗り物としての身体に対してのアプローチができる手技手法がたくさんあることは、利用もしやすくなりますし、医療機関を含め、同業他種の方とも連携が取りやすく、そのクライアントに対してより良い選択肢を提示していけることになります。
ただ、先程のツイートにある「プロとは成果物をお金に変えられること」という文面を考えると、本当にプロとして活動できている人はどれくらいいるのでしょうか。
個人事業主は信用が低い理由
お金がすべての物差しではありません。だけど、社会的信用という点から考えると所得は一つの大きな物差しになっていますよね。
安定した所得が数年続いており、きちんと納税をしていなければ銀行からローンを組む事はできません。
「個人事業主は信用が低い」と言われます。
そこで言う信用は、あなたの人格ではなく、経済的側面での信用。
要はは「稼ぐ力」です。
お金を稼ぐ力が低いとみなされているから、お金を貸すことはできないし、賃貸契約も結ぶことが難しいのです。
お金は汚い?
日本にいるほとんどの人が、お金のことをきちんと学ぶ前に独立という道を選んでいます。
お金の教育を受けた、と胸を張って言える人は少ないです。独立してからもお金の勉強をしないままに進んでいる人がほとんどです。
特に身体に関わる業界ではお金の話をすると
- 「お金を受け取るのには抵抗がある」
- 「こういう仕事はお金じゃない」
- 「お金は汚い」
- 「安くみんなに受けてほしい」
- 「高いと来てもらえない」
- 「金に走りたくない」または「あいつは金に走った」
などという言葉がよく聞こえてきます。
どれもこれも言葉を変えれば「私はお金のことを何も勉強していないまま開業して、お金は汚いものだと思っているけれど私の生活のためには必要だから、もらってます」と言っているのと同じこと。
そちらの方が不健全です。
対価をいただくのは私腹を肥やすためではない
お金に対してきちんと向き合い、考えることができていれば、プロとして活動している以上、「対価を得る」「お金を稼ぐ」ということは当たり前のことです。
より良い生活をするために稼ぐということがモチベーションになっても良いと思います。
それだけの努力をしてきたのだから。ただし、本当の意味での「お金を稼ぐ」という意味は私腹を肥やし続ける、と言う意味ではありません。
次の機会、または次のお客様がいらしてくださった時により良いものを提供できるようにするための準備金なのです。
より知識や技術を深めるためにそのお金を使うこともあるでしょう。
お客様がより快適に過ごせるように何かを購入するために使うこともあるでしょう。自分自身がリラックスし、リフレッシュすることでより良い物を提供できるようにする、と言う名目で使われることもあるでしょう。
そういったこと全てにおいて、お金は必要なのです。
お金について学ぶ機会
僕は、身体や心に携わる仕事をしている人が稼げないということはおかしいと思っています。これだけ必要とされているものですし、そのニーズは更にこれから広がっていくものだから。
ただ、それは黙っていて勝手に必要とされるものになるわけではありません。然るべきアプローチを取り続けた人が必要とされるのです。
だからお金について学ぶ機会をなるべく提供したいと思い、Kukuna Bodyでは各界の専門家をお招きして、お金やライフプラン、そして仕事についてのセミナーを行っています。
先日4月8日(日)にも、保険のプロと不動産のプロをお招きして、【個人事業主が知っておくべきお金の話:源泉徴収票から考える将来設計】というセミナーを行っていただきました。
そこで、様々な業種を相手にされているお二人から聞かされたことは衝撃でした。
所得が400万に届かない個人事業主がほとんど、という現実
多くの個人事業主の方も顧客に持つお二人。
不動産にしろ、保険にしろ、お金についてのことはほぼ全てオープンにして話をします。
その中で、所得(売上から経費を引いたもの)が400万円を超えている人、そしてそれを数年続けてキープできている人は殆どいない、というコメント。
これは、個人事業主の悪しき習慣で「なんでもかんでも経費計上している」ために超えていない人もいるでしょう。
そのあたりのことについては株式会社ライフタイム・アスリート代表の安藤さんがこちらに詳しく書かれています。
不動産、保険のプロのお二人は様々な業種の方を相手にされていますが、少なくともこういった高額な部類に入る商品に興味をもちコンタクトをとるということは、それでもそれなりの売上をあげているはず。
にもかかわらず、現実としては所得が400万円に届いていない人が多いというお話。
これは、多くのトレーナーやセラピストの方々から経営状況の相談などを受けている状況から考えると、この業界は、その他の個人事業を行っている方たちよりも低いということが考えられます。
しかし、個人で事業を行っていて、所得が400万円に届かないというのが当たり前の業界は、それではどんなに自分たちが良いものを提供しているといっても、数字が証明してしまっているのです。
「社会が必要としている形で供給できていない」ということを。
この現実は、しっかりと受け止めなければ業界の発展はありません。
人任せにしないこと
業界の発展は誰かが引っ張ってくれるものではなく、個々人がしっかりと「売る」「稼ぐ」能力を高めていけば必然的にあがっていきます。
売上というのは社会からの拍手の数、つまり応援してもらっている数なのです。
逆の立場で考えたらわかると思います。
必要のないものにはお金を払わない。自分が必要なものに対してお財布を開く、そうではないですか?
つまり、必要とされているものは「売上を立てる」ことができるのです。
色々な働き方があって良い
誤解しないでいただきたいのは「稼いでいる方が偉い」とか「稼げないやつはだめだ」とか「稼ぐために働くべきだ」と言っているわけではありません。
色々な働き方があって良いと思います。
週末起業であったり、自分の空いている時間だけを使って、とか生計はパートナーにお願いをして、自分のQOLをあげるために社会との接点を持つという意味で仕事をする、ということも大いに意義があります。
ここで言っているのは、身を立たせるための手段として、プロとしてその仕事を選んでいるのであればきちんとお金と向き合い、正当な対価を得て、稼ぎを得ましょうということです。
その分野で専門家として身を立てていく、自分が生活をしていくという気持ちでやっているのであれば、きちんと「稼ぐ」と言う姿勢を持つことが大切であり、あなた個人がしっかりと稼げるようになりその輪が広がっていけば、社会には必要とされるようになっていきます。
何もはじめから大きなことをやらなくていい。しっかりと「お金」にむきあい、自分の売上を今よりも増やしていく。それはすなわち、それだけ声が届いていっている、ということになります。
稼げない専門家が集っていても、それは内輪で盛り上がったり、傷をなめ合ったりしているだけです。
そしてその状態では本当の意味でのプロは育っていきませんし、その業界も廃れていきます。
どの未来を選ぶのかは、あなた次第
これから先、必要とされる人とそうでない人はより一層二極化されていきます。
その時までに、自分の意志で歩みをつづけていくのか、それとも流れに飲まれていってしまうのか。
何事もおそすぎるということはありません。
これから先、身体や心に携わる職業についている人たちはより一層必要とされていきます。
その時のために、今、何をしますか?
専門的技術や知識が足りないから、売れていない訳ではありません。
もちろん専門的技術や知識はこれからもアップデートしていかなければいけません。しかしそれはプロであるのなら呼吸をするように当たり前に行い続けるもの。終わりはありません。
そう、終わりはないのです。
だからこそ、大切なことは「今、すでにあるものきちんと届ける」こと。
世の中が必要としているものに対して、自分が持っているものをどう適応させ、伝え、届けていくのか。
そちらのほうが、よほど大切なことなのです。
どんなに最先端の技術や知識を学んで習得していたとしても、それを提供する相手がいなければ、その技術も知識も活かせません。そうなってしまっては、その技術知識を学ぶために費やしたお金も時間も投資ではなく、浪費、つまり無駄になってしまいます。
まずは、今あるものをきちんと届けきること。
僕たちトレーナー、セラピスト、インストラクターはもっとやれます。
やれるんです。
やれるんですよ。
自分でその可能性を閉じないでください。
森部高史
それではまた
森部高史