*妻に乳がんがあることがわかり、そこで体と心を繋げる専門家として仕事をしていること、そして夫としての立場から乳がんについて思うこと、知っていてほしいことを書き綴っています。
なお、ブログ本文中では「ガン」のことを「ぷるっぽん」と記述しています。「がん」という響きはあまり心地よくないので。
なぜ「ぷるっぽん」なのかはこちらをどうぞ。
「胸にしこりがあるんだよね」
そう言っていた妻。
うちには1歳半になる娘がいて、まだ卒乳をしていないので、妻がいる時はおっぱいとともに眠りについていました。まだ授乳中だったから、おっぱいもはるし、それは娘がもっと小さい時からも同じ場所に乳腺が詰まりしこりのようになることがありました。
おっぱいケア(乳腺がつまらないように・詰まってしまった時に絞り出してくれる専門のサービス)にいくと、なくなるので特に気にもしていなかったけれど、一度胃腸炎で体調を崩した時に、「ついでに」という感じでお世話になっていた産婦人科を受診。
先生も「悪いものにはかんじないけど、一応きちんと検査をしてもらいましょう」ということで、大きな病院を紹介され、検査になりました。
マンモグラフィー、超音波の検査、先生の触診などを経て、たしかにしこりになっているモノは見えるけれど、それが先生の長年の経験からも悪いものには思えないけど、、、ということでしたが、生体検査をしてその結果待ちをすることになりました。
結果は妻のブログにあるように「身体にあってはいけないものでした」という診断。
僕自身、あまり後悔をするタイプではないのですが、こういう結果を聞くのであれば仕事をキャンセルにして一緒に行くべきだったと今も思っています。
話を聞いていて、悪いものではなさそうという話から、「まぁ大丈夫だろう」、そう思ってしまっていました。
妻もそのつもりだったから「一緒に来て」とも言いませんでした。
そして仕事中に、診断結果を聞いた妻からラインが入り、報告をうけました。その文面はとても冷静でしたが、文字からも動揺しているのが感じられました。
今思えば、なぜ「一緒に行くよ」と言わなかったのか、不思議でなりません。でも僕自身その病気のことに対して深く考えていなかった、いや知らなかったからだと思います。
結果として、おっぱいによる乳腺の詰まりだったら、「よかったね」で済む話です。しかしそうでなかった時、一人で抱えるには大きすぎるものになります。
身体の中にいるものが判明したので、すぐに今後の治療方針、入院・手術計画が話され手続きが進められます。先生方は落ち着いて対処してくださいましたが、突然のことに混乱している時に決断を重ねていくのは到底ムリな話です。
このあたりはぷるっぽんの種類や場所によるのかもしれませんが、妻の場合は帰ってきたときには最初の投薬及び入院のスケジュールが決めて帰ってきていました。
しまった、、、
いまさら後悔しても遅いくらい、大きなものを彼女一人に背負わせてしまいました。
自分ひとりだけのことだったら、まだどうにか出来たかもしれませんが、彼女の中では1歳半のまだ卒乳していない娘のことが常に頭にありました。
こんな愚かなことを他の人にはしてほしくないからあえて書きます。男性はわかっているようでわからないのです、それがどういった状況なのか。
それは当事者の女性にとっても未知のものである以上一緒だと思いますが、一言勇気を持ってパートナーや家族の方に言って下さい。
「結果を聞くの、ついてきて」って。
結果が悪いものでなければその後にランチでもお散歩でも普段ない時間を愉しめばいいじゃないですか。でもそうじゃなかった時、誰かがそばにいないとあまりにも大きいものと一人でむかいあわなければなりません。
だから、伝えてください。
「一緒に来て」って。
そして女性の方は口を酸っぱくして言われていると思いますが、定期検診は行って下さい。そして何より、セルフチェックをおこなってください。
妻も、自分で触った違和感から今回の受診にいたり、早期発見につながっています。
知人も、しこりがあるわけではないけれど、セルフチェックをした時の「ちょっとした違和感」から念のため受診したところぷるっぽんが発見され、事なきをえたということがあります。
いまや10数人に1人の女性がこの病気と向き合っているそうです。早い段階で見つけることができれば対処のしようがあるもの。だから自分がまずきづくためにも、セルフチェックと定期検診、そして異変にきづいたときは「気のせいかな」と思わずパートナーや家族の方にお伝えしてください。
乳がんのセルフチェックについてはこちら
次回は、「夫の立場から夫の立場にある人に伝えたいこと」について書きます。
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それではまた
森部高史