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妻がガンになりまして

妻がガンになりまして:その11「15552000秒という時間で変わるもの」

*妻に乳がんがあることがわかり、そこで体と心を繋げる専門家として仕事をしていること、そして夫としての立場から乳がんについて思うこと、知っていてほしいことを書き綴っています。

なお、ブログ本文中では「ガン」のことを「ぷるっぽん」と記述しています。「がん」という響きはあまり心地よくないので。

なぜ「ぷるっぽん」なのかはこちらをどうぞ。

前回のエントリーはこちら


半年
6ヶ月
180日
4320時間
259200分
15552000秒

この時間で一体どれほどのことがかわるのでしょうか。

6ヶ月と言う時間で変わるもの

我が家は全てが変わりました。

家族の意味
生きるということ
人生を全うすること
仕事の意味
何を大切にするかということ
お金の価値
時間の使い方
人間関係
コニュニケーションの方法
伝えるメッセージ

上げれば切りがありません。

しかし全ては良い方向に変わったと思っています。

 

その中には、多くの涙や張り裂かれるような心の痛みを経てたどり着いたものもあります。

まだ全てが解決されたり、何の不安もなく過ごしているわけではないのかもしれません。

 

たくさん涙を流しました。
たくさん喧嘩もしました。
たくさん傷つき、傷つけました。
それでもたくさん笑っていました。
多くの時間をともに過ごしました。
我が家に訪れてくれる方も多くなりました。
今までにない交流が始まりました。

そんな6ヶ月という時間。

昨日、妻の6ヶ月に及ぶ術前化学療法が終わりました。
平たく言うと、手術前の抗がん剤の投与です。

良く頑張りました。

宣告を受けてから変わったこと。

個人事業主から二人の会社 株式会社Pono Lifeが設立されました。
妻の初めての入院がはじまりました。

1歳半でまだ寝かしつけの時にはおっぱいを飲んでいた娘の断乳が始まりました。
僕は仕事を半分以下に減らし、仕事のスタイルを変えました。

その上で収入を落とさない方法を模索し、実行しました。
娘と二人で過ごし、娘と二人でデートに行く時間が増えました。

抱っこ紐との再会

生後1年位は毎日のように抱っこ紐を使い外を歩くことで寝かしつけていた日々も1歳を越えると全く使わなくなりました。

しかし抗がん剤の治療が始まるから、断乳をしなくてはならず、いつももらえるおっぱいがもらえないから泣き叫ぶ娘を抱っこ紐に入れて毎晩1時間から2時間、夜の散歩にでかけた2週間。

そこからまた使う機会がなかった抱っこ紐。

くしくも、抗癌剤治療に一区切りがついた昨日は、断乳の時に使って以来、娘が大きくぐずり、抱っこ紐でお散歩にいく、とリクエスト。

何か伝わっていたのかな
何か感じていたのかな

まだ10キロに満たなかったその体はもう12キロ近く。

ずっしりと重くなっていました。

 

生まれて最初の頃は、軽くて、近所にある大学の周りを2周歩いたら寝落ちして、3周目には深くなり、それから帰宅していたルート。

2歳になってのいまは、それでも寝なくなっていました。

 

「赤ちゃんの時は、ここを毎晩お父さんと歩いていたんだよ」

そんな風に話をすると、お返事をしてくれるようになりました。

あの頃は会話が成り立つことなんてなかったのに、今ではコミュニケーションが成り立ちます。

娘が座っていたベビーチェアも、ハイチェアに変わりました。

地面から離れなかった足は、今はしっかりとジャンプして両足が宙を浮くようになりました。

嫌なものは嫌!と主張するようになりました。

180日という時間は、とても短いけれど、何かを違うレベルにまで持っていくには十分な時間だということを実感する日々です。

妻も大きく変わりました。

先にご紹介した彼女のブログの中では、抗癌剤治療を初めたことで髪の毛が抜けたことに対する恐怖が記してあります。

でもそんなのは僕にとっては何の関係もないことなのです。

 

髪の毛があろうが、なかろうがもちろん本人にとっては大きなことだと思います。女性ですから。

だけど、僕にとっては、変わらぬ妻ですし、娘にとっても変わらぬ大好きなお母さん。

 

何が変わったか。

ひっそりと一人で泣いたり時に悩んだりしている(らしい)ことは変わってはいませんが、それでも、自分のやりたいことを優先するようになりました。

苦しいことを苦しいと言うようになりました。
助けてほしいという時に声をあげられるようになりました。

 

まだまだ、もっと早くに言ったらいいんじゃない、ということもあります。

でも、今まで人に頼ることが出来なかった彼女にとってはとても大きな変化です。

そして「伝える」という意志も大きくかわりました。

 

こんな思いを他の誰にもしてほしくないから。
特に私たちと関わりを持ってくださっている人たちには。

それもこれも彼女は「生きる決断」をしたから。

2013年に結婚し
2014年に妊娠
2015年に出産して
2016年は自分のペースを見直して
2017年にぷるっぽん

激動ですね。

女性って強いなと思います。

僕も変わりました。

この期間にとても親身になって声をかけてくれる人たちの存在に助けられました。
この期間に嫌な言葉もたくさん浴びました。

だから吹っ切れました。

自分は、自分の道を行く。

今までもそうだったと思いますが、またひとつ違う軸で、階層で。

自分が育ててもらったトレーナーの世界、セラピストの世界、ボディーワーカーの世界、そしてそれらの活動を通じて出逢うことのできたクライアントの皆さんが生きている世界にもっともっと貢献していきます。

 

弊社Pono Lifeのミッション

【全ての人々に自分軸の人生を】

 

僕たちはこれからも動いて行きます。
伝えていきます。

気づいたことがたくさんあるから。
知ったことがたくさんあるから。

気づいたことがあるのなら、それを伝えていくのは気づいた人の責任だと思うから。

1秒毎の積み重ねが未来をつくる

半年、それは15552200秒の毎秒ごとの積み重ね。

これから彼女は手術を経て、私たちはまたさらに15552200秒の毎秒を積み上げていきます。

多分大変です。
悩んだり、苦しんだりもするでしょう。

でも同時に、とても笑ってもいると思います。

 

その時間を、皆さんと共有していけたらと思います。

いつもありがとうございます。
これからも一緒に、見守っていて下さい。

それではまた

森部高史


ABOUT ME
森部高史
株式会社Pono Life代表取締役。Kukua Body主宰。アメリカ在住時でATCとしてトップレベルアスリートのケアにあたる。数少ないロルフィング®の資格を持ち、クライアントの身体と心のバランスを整え人生に寄り添い、「先生」と呼ばれる治療家やセラピストを指導する立場にもある。その人柄と結果を導くセッションと講座には全国から参加する人が後を絶たない。現在は自分の知識や経験をオンライン化していく方法を個人事業主や小規模法人経営者に伝えている