暑い日差しの中、渋谷で信号待ちをしていたら聞こえてくる若い会社員の会話。
「あぁ、まだ月曜日かぁ、、、」
そこでふと、自分の人生を振り返ってみました。
「月曜日が来ることが憂鬱だったことってあったかな、、、」と。
記憶をたどる限り、一度もない。これは世間一般に言ったら幸運なことなのかもしれない。
労働時間だけを見ていたら、いわゆるブラック企業と言われるようなところと遜色ないだけの労働時間は今までも刻んできています。
ということで、質問にお答えシリーズ第二弾は東京で活動されるパーソナルトレーナーの方から頂いた「仕事ってなんですか?」ということについて。
目次
勤務時代を振り返る
僕は日本とアメリカでの勤務経験があります。日本では中学・高校の一貫校で英語教師をしていました。そしてアメリカではアスレティックトレーナー(ATC)として、3つの異なる州の大学で勤務していました。
教員時代は始発で出て終電で帰る、しかも家に仕事を持ち帰るような日々でした。だから通勤時間がもったいないと学校の側に引っ越しをして、帰る時間を気にしなくて良いようになったから余計に忙しくなってしまいました。
結果、心がオーバーヒートして、指一本動かせなくなった経験がある。仕事に行きたいとか、行きたくないとかではなく、物理的に身体が動かなくなりました。体重も2ヶ月で10キロ以上落ちていた。でもそのことに気づいていませんでした。
要は、「やらねばならぬ」根性で、「やりたいとかやりたくない、とかではなくやる」が悪い方向に出てしまった結果。
アメリカでのアスレティックトレーナー時代は、これもまた奴隷のように働いた。好きなことを仕事にしているからさほど苦にはならいとおもっていたし、実際楽しかったのだけれど、それでも身体と心にかかるストレスは相当なものだった。
勤務時間はやはり、朝はやく夜遅い。もっともひどいシーズンの時は朝4時30分に出勤し、夜の11時まで働いているということもあった。
この時は、どうやって出勤したのか、もしくはどうやって帰宅したのか覚えていないということもありました。
ただ、これをやるために安定した仕事を捨てて、海を渡ってきたのだから、という思いもありましたし、何よりスポーツ現場にいることが好きだったから、心が壊れるということはありませんでしたが、逆にとても頑なになっていた時期でもありました。
その後、ハワイで仕事をする傍ら、ロルフィング®という、身体と心を繋ぐボディーワークを学びながら実践していくことで自分の中で、仕事というよりは人生というものに対しての見方が少しずつかわってきました。
2012年に日本に帰国してからはKukuna Bodyというサロンを立ち上げ、まだまだ知られているとは言い難いロルフィングやボディーワークというものを多くの方に知ってもらえるようになりました。そして2017年には株式会社Pono Lifeを設立。
単純に仕事の時間数で言うと、今のほうが圧倒的に仕事をしています。物理的に忙しいというよりは、常に頭の中で何をしよう、こういうことをしてみよう、ということを考え、限られた時間の中でどのようにしてそれを達成していくか、常に行動と共に検証しています。
でも楽しくて、身体や心が悲鳴をあげるということはありません。
むしろ、もっと仕事をしたい。
労働時間で言えば、僕の人生においては、心が壊れて身体がうごかなくなった教員時代が最も少ない。
ただ、人にやらされている、もしくは勝手に外からの期待に必要以上に答えようとしている時間は最も多かった。だから本来の自分とのギャップでパンクをしていったのだと思います。
今は自分のやりたいことの為に仕事をおこなっているので、どんなに労働時間が長くなろうが、大変だろうが、自分のやりたいことのためなので、全く苦になりません。
仕事ってなんですか?
その答えは3つあります。
1:仕事は問題解決である。
仕事を選ぶ時に、多くの人は【これをやりたいから】という理由で選ぶ事が多いと思います。特に個人事業主として活動する、起業するという方はそうですよね。
スタートはその思いが大切なのですが、それでもなぜ、多くの個人事業主が好きで始めたことを成り立たせることを難しいと感じているのか。
それは「自分のやりたい」ばかりを優先させてしまっていて、仕事がなぜ、仕事として成り立っているのか、という視点が欠けているからです。
仕事が仕事としてなりたつ理由、それは、その仕事内容を必要としている人がいるからです。
どういうことか。
あったらいいな
誰かがやってくれたらいいな
自分にはできないから、困っているぞ
そういった問題を解決する、それが仕事です。
つまりは、相手が求めていることを提供していく。
それが仕事になります。
お腹が空いていて、それを満たしたいときには電気屋さんにはいかないわけです。
そこはレストランに入りますよね。
それはお腹が減っているという困った状況をレストランは食事を提供してくれることでその問題を解決してくれるからです。
自分の好き、という思いではじめたのに、上手く進まないと悩んでいる方がいるのなら、それをどのようにして表現していったら、多くの問題を抱えていて困っている方々に提供できるかな、を考えてみて下さい。
2:仕事は社会貢献である
問題を解決することが仕事になる。ということは、その仕事を思う存分に全うしていけば、世の中からその問題で困っている人が少なくなります。
そう、仕事とは社会貢献なのです。
単なる単純作業ではありません。その仕事をすることで貢献できていることがあるのです。
石を運ぶ人のストーリー
幾つかバージョンがあるので、似たようなものをご覧になったことがある方もいらっしゃるかもしれませんが、こんな話があります。
石を運んでいる人達がいたので、「何をしているのですか?」と訪ねた所
Aさんは疲れた様子でこう言いました。
「石を運んでいるんだよ」。Bさんは淡々と言いました。
「あそこにピラミッドをたてるんだよ」そしてCさんは誇らしげにこう言いました。
「歴史をつくっているんだ」
わかりやすくつくられたストーリーでもあると思いますが、Aさんは単純作業として石を運ぶ作業を行い、Bさんはプロジェクトのゴール(建築する)の為に動き、Cさんはその建造物が社会に残す意義を見据えて行動している。
承認欲求はあって当然のもの
僕達には「承認欲求」というものが存在します。
誰かの役に立てている、ということはとても大きな力をもらえます。
僕も、日々のクライアントの皆さんとの交流やこうやってブログやメルマガを読んでくださっている方々からたくさんの力を頂いています。
結婚をして、生活を共にするパートナーを得たことで、またひとつ役に立てるステージに立ち、子供が生まれたことでもまた異なる形で役に立てることを知りました。
誰かの役に立てる、というものが与えてくれる力は計り知れないものです。
ただ、「誰かの役に立っていないと自分には価値がない」と思わないでくださいね。これはまた全く別次元の話です。このこともいずれ書こうと思います。
何も出来ない赤ん坊だって、その場にいたら周りの人を笑顔にしますから、いるだけでも価値がある。
そのなかで、何を見据えて仕事をしているのかということで、目の前の同じ「石を運ぶ」という作業の中で届けられるもの、そして自分自身の充足感や使命感、気付き及びそれに伴う行動と成果が変わってきます。
あなたが好きで初めたその仕事は、社会にどのように貢献することができますか?
3:仕事は自己実現のためのツールである
僕はワークライフバランスと言う言葉が好きではありません。
なぜなら、仕事と人生は天秤にかけるようなものではないからです。
その考え方だと、仕事をとるか、人生をとるのかと言うかたちになってしまいます。
でも、だれにとっても人生ありき、なのです。
自分がどのような人生を歩んでいきたいのか。
それがあって、その人生の目的を達成するためには、どのような仕事があるのか、となるのです。
でも、いつしか、仕事ありきで人生を考えるようになっていないでしょうか。
生活するにはお金が必要でしょ?!
「そんなこと言ったって、お金が必要じゃないか!現実はそんなに甘くないんだ!生活できなかったら元も子もないだろう!」
という声が聞こえてきます。
そうですね、たしかにお金は大切です。
でもね、ちょっと青春時代の恋愛事情を思い出してみてほしいのです。
好きな人ができたら、どうしますか?
うまくいくかどうかなんてわからないけれど、その人に振り向いてもらえるように色々と努力をしてみたり、ちょっと背伸びしてみたり、相手のことをより良く知るために相手の好きなことにも興味を持ってみたりしませんでしたか?
そこまで、想いが募った相手であれば、その想いは伝えたくなりませんか?
想いは伝えなければ届きません。
自分が欲しかった結果が100%そのままに手に入るか、なんてわかりません。
でもそれが上手く行こうが、上手くいくまいが、1つの答えがでます。
そして仮に上手く行かなかったとしても、自分の「好き」のために自分が悩み、考え、行動してきて得たものは自分の財産になります。
その時点で既に前の自分とは違う次元にいるのです。
仕事に人生をあわせるのではなく
人生に仕事をあわせる
自分の人生で求めているものは自分だけにしかわかりません。
だから僕たちは悩む必要があるのです。
だって、それはとても大切で尊いものだから。
仕事の為の人生ではなく、自分の人生での目標を達成する手助けをしてくれるのが、仕事。
そう僕は思っています。
あなたにとって、仕事とはなんですか?
あなたのストーリーをシェアしてもらえたら嬉しいです。
それではまた
森部高史