この1年、我が家にとっては大きな変化であり、とてもチャレンジングな1年でした。
それは、妻であり、うちの会社Pono Life取締役でもある美香が乳がんに侵されていることがわかったから。
ということで、公私において、名実ともにパートナーである相棒が倒れるわけです。そして僕たち夫婦の間には当時1歳半のまだまだ一人前には程遠い娘がいたのですから、なおさらです。
緊急時、その時どうする?
それでも我が家が幸運だったのは、共に個人事業主として当時働いていたので、ある程度自由がきいたこと。
それは本当に良いクライアントの皆様に囲まれていたからというのが大きいですし、良いクライアントにだけ来てもらえるように仕事をしてきたからと言うのもあります。
法人化直前にわかった乳がんだったので、「こうやっていこう」という計画は全て流れます。
それでも時間は流れるから、闘病のために必要な情報整理など様々なことから、会社を動かしていくための事務作業、そして日々のセッションなどの日常業務、さらにはなによりも大切な妻と1歳半の娘の命を繋ぐこと。
まぁ、バッタバタです。
お世辞にもかっこよく全てをこなしていたとは言えません。
ただ、目の前のことを淡々とこなしていくだけです。
仕事を邪魔するもの
仕事において、邪魔をするものは感情です。
人の気持ちは感じられたり、自分の気持を押しやるというのとは、また別の意味になりますが、仕事で成果をきちんとあげていくには、いちいち感情のジェットコースターに乗っていては前に進みません。
だから、感情に振り回されずに平常心で淡々とこなしていく、ということが大切になります。
そういった意味ではこの1年は自分のキャパを大きくしてくれました。
またそれだけの準備もできていたのだと思います。
働き方を変えた1年前
娘が生まれる前はオフィスを移転したこともあり、とにかく仕事をしていました。
仕事、大好きなんです。
個人セッションでクライアントの皆さんと向き合い、自分が役に立てる、最高じゃないですか。
もちろん、今もそれは続けていますし、大好きです。
日本に帰ってきての開業当初は毎日6−7本セッションをして、それを週に5−6日、っておもっていました。
ロルフィングがまだまだ知られていないし、それくらい必要とされるものにならなければダメだ、とおもっていたから。
それから4年と少しの月日がたって、ありがたいことに当初の目標は達成できて、仕事は相変わらず楽しいのだけれど、朝から晩までオフィスに居る生活には疑問が生まれていました。
「あれ?これってハワイでトレーナーしていた時に、ハワイに住んでいるのに太陽を見ていないような生活(朝4時から夜11時勤務)と変わらないじゃないか」って。
でもすぐには、何かを変えられるわけではないので、しばらくはそのままでした。だって仕事楽しいから。
忘れてはならない家のこと
しかし、家にはまだ幼子と出産からなかなか体調が完全とはいえず、寝不足続きの妻がいるわけです。
だからこそなおさら一生懸命働かないと、と思っていましたし、彼女が復帰する時にその場所があるように守り続けなければという思いもありました。
でも彼女はそれを望んでいなかった。
彼女が望んでいたのは、「早く帰ってきて子育てを一緒にしてくれること」だったのです。
当然ジレンマはあります。
「だって自分が働かなければ収入が途絶えるじゃないか」
って。
でもね、それも結局言い訳だったんです。
じゃあ、その形を守れる働き方を見つければ良いじゃないか、っていうだけの話だから。
個人事業主ですし。(後に法人化しましたが、基本的には何も変わりません)
自分の望むライフスタイルは明確か
Twitterをみていたら、こんな文章がながれてきました。
若い子と話してて気づいたんだけど、「何になりたいか?」「どんな仕事がしたいか?」という問いにははっきり答えられない子が大勢いる一方で、「どんな働き方がしたいか?」「どんな生活がしたいか?」という質問にはほとんどの子がちゃんと答えられるんですよね。
— えとみほ (@etomiho) 2018年2月27日
つまり、自分のライフスタイルを選択している人たちが増えている、ということ。特に若い世代は当たり前におこなっている。
となると、自分が大切にしたいことは何か、につながるわけです。
結婚して、子供にも恵まれて、家庭を顧みずに働く。
それを求めていたのかな、って。
もちろん答えはNOです。
そうしたら、「じゃあどうしたら良いかな」で、試行錯誤して仕事をつくりだしていくのが事業主の働き方であって、それは個人事業主だろうが、法人組織にした個人であろうがかわりません。
もちろん一筋縄でいかないことだってある。
判断に迷う時だって、どうしようもない時だってある。
だけど、はじめから無理だと決めつけるのではなく、どういう可能性があるのかを考えて行動に移していくことで開けてくることがあある。
先日、最終回を終えた、個人事業主の自分軸の人生と仕事の作り方をお伝えしている「ぽのビジ」では、ある2人のお子さんを抱える参加者の方がいつもはとても遅く帰っていたのに、「◯時まで(子供が起きている時間)に家に帰る」と決めて日々の仕事をし、帰宅すると、奥様が泣いて喜んでくれたそうです。
自分の行動ひとつが、自分の大切な人に大きく影響する。
じゃあ、何をしようか、ということです。
1年という時間を経て
本当に多くの方の助けがあり、まだ治療はつづいていますが、化学療法及び手術を経て、妻は完治と言っても過言ではない状態になり、いまは元気に毎日を過ごしています。
そして娘も、たくさん我慢したこともあるだろうけれど、スクスクと育ってくれています。
いまはイヤイヤ期と言われる時期ですが、甘えたいさかりでようやく全力で甘えられる時になったということもわかっているのでしょうね。
今日は珍しく「おんぶ紐でお散歩にいって」とリクエストしてきました。
時間は何もしていなくても流れます。
正直なところ、何もしたくない時間というのだって時にはある。
だけど、その時間をどう使いこなしていくかで見えてくるものはかわってきます。
仕事はとっても大切です。
それはあなたの能力を活かした社会貢献だから。
だけど忘れてほしくないのは、仕事はあなたの人生における目標を達成するために手助けとなるものであって、人生を縛り付けるものではない、ということ。
しんどい時だって一生懸命生きていたらあります。
だからこそ、そんなときにこそ「自分にとって仕事ってなんなのか」「何のために仕事をしているのか」ということを自ら問える大人でありたいな、と思います。
どんな風に仕事をしているにしても自分の時間を使っていることにはかわりなく、その費やす時間というものは別の事をしている時とかわりません。
一つのことを選択する、ということは他の選択肢を断つということ。
自分の貴重な時間をどのように使うかは自分のスタンス次第。
その時に、大切になるのは、この「なぜ」という部分なのではないでしょうか。
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それではまた
森部高史