三が日も過ぎ既に仕事も始まり、日常に戻っている方も多いと思います。
お正月の楽しみといえばお年玉。
これは間違いないですよね。
朝起きたらポストに年賀はがきを取りに行き、親戚から預かったお年玉をもらうことをとても楽しみにしていました。
時代は移り変わり年賀はがきはあまり送られないようにもなりましたが、それでもまだお年玉という風習は根強く残っていてこれからも伝わっていてほしいなと思っています。
娘も3歳になり、自分の意思をはっきりと主張するようになってきました。
ようやく何をもらっているのかも意識できるような年齢になってきたので、今年はお年玉を通してお金の教育をしました。
目次
子供のお年玉、どうしてる?
子供のお年玉といえば定番なのは
「お父さん・お母さんが預かっておくからね」というもの。
そして後から気付きます、「あれ結局返ってこないじゃん・・・」と。
中には、「大切なものなのだから使わずに貯金しなさい!」という風に言われてきた人も多いのではないでしょうか。
確かにお金は大切なものです。
だから無駄に使ってはいけないというのも分かります。
ただこの日本特有ともいえる年に一度、子供だからという理由で、ほぼ無条件でお金をもらえるシステムをお金の教育の場として有効利用しない手はないと思うのです。
だって大人になってから無条件でお金をもらえることなんてありませんよね。
だからこそ伝えられることがあるのだと思うのです。
お年玉は使いきれ!
基本的にはこの考え方です。
3歳ですからまだお金というものがどういったものかはわかっていません。
単に色のついた綺麗な紙だと思っている可能性もあります。
1万円と10円玉、どっちが欲しいと聞いたら大人であれば1万円を選ぶ所を、10円玉を手にすることだってあります。
どのお金を出したらどの商品と交換できるかということも理解していません。
大切なことはその紙や硬貨が「いくらである」ということではありません。
自分が欲しいものを自ら選び、それを手にするという成功体験です。
大人になると欲しいものはいくらでも出てきます。
そして本当に欲しいと思っても、懐事情と相談をして初めから諦めてしまうということも少なくありません。
もちろん子どもにとってもそれは同じですが、それでも子供が欲しがるものの上限というものはある程度決まっています。
つまりそれはお年玉で購入できる範囲ということ。
1万円の価値は皆同じではない
高校生にとっての1万円は大金です。
時給1000円のバイトをしても10時間働かなければなりません。実際高校生で時給1000円もらえるバイトはほぼないので、15−16時間働くのが妥当な計算になります。
高校生の場合は大人のように丸1日働けるわけではないですから、その15−6時間働くだけでも一週間近くの時間がかかります。
こうしてお金というものは、自分の時間を切り売りして「苦労して」手に入れるものだという概念が刷り込まれていってしまいます。(それが全て悪いと言っているわけではありません)
高校生にとっては自分の貴重な一週間を費やして得た1万円。こうなるとなかなか使うことにもためらってしまいます。
しかし大人にとっての1万円というのはどうでしょうか。
もちろん大人にとっても貴重なものです。
しかし高校生の頃に感じた一万円の価値とは違うはずです。
忘年会や新年会に顔を出して二次会や3次会まで行ったら1万円ぐらい使っていることも多くあったはずです。また趣味や娯楽に1万円費やすということもあるでしょう。
つまり同じ1万円であったとしても、大人が使う1万円と子供が使う1万円というのは、大きな違いがあるということ。
(またこれは時代によっても価値は異なります。10年後に今の1万円が1万円の価値がない事も考えられます)
子供にとっての1万円というのは大人にとっての100万円やそれ以上の価値があるように感じるものです。
しかもこの1万円は自分が苦労して手に入れたものではなく、与えられたものです。
さらには、まだ自分自身が生活していくための費用を自分で賄わなければいけないというわけではなく、親の保護のもとで暮らしていける状態だからこそ、思い切りよく使うことができます。
こうなると値段ではなく、「本当に自分が欲しいものは何だろう」という考え方になります。
これは非常にシンプルなことですが、大人になってからは素直にできることがないシンプルが故に難しいこと。
自分が欲しいものを厳選してシンプルに選ぶ。
そういったことを教える機会になっています。
また後々のことを考えて貯金をした方が良いという考え方もあるでしょうが、今銀行にお金を預けていても超超低金利の時代です。
お金を預けて、手数料がかかってしまうような使い方をしてしまうのであれば、自分の心が満たされる使い方をしている方がよほど健全であるように思います。特に若い年齢であればあるほどです。
そんなことをしたら無駄遣いが増えるじゃないか!
こんな声も聞こえてきます。確かにその心配も分かります。
しかし本当にそうでしょうか。
子供は思った以上に賢いものです。
自分が本当に満足をして、物を選んで購入した時は他のものに目が行かなくなります。
なぜなら「自分が選んだ」という意識が芽生えるから。
だから選んだものをとても大切にします
。
確かに今の世の中魅力的な商品がたくさんあるので、あれも欲しいこれも欲しいと感じるかもしれません。
それもお年玉があるのであれば、買わせてしまったらいいのだと思います。
お年玉がなくなったら、 購入することができない。
そこには明確なルールが存在します。
それでも欲しいものがある場合には、どうしたらいいのか。
そこにはお金が欲しいという純粋な欲求が生まれます。そして純粋な欲求だからこそ、何をしたらいいのかと自ら考える機会が生まれます。
親や周りの大人がお金が欲しければ働けばいいんだよ、ということではなくて自らがどうしたらいいのだろうかと考えることが大切。
そうすることで「働く」ということはどういうことなのか。
また「お金」とは何なのかと言う話にもつながっていきます。
もちろんこれらはまだ3歳の娘に理解できるはずもありません。話をする必要がないことかもしれません。
しかしこういったスタンスで365日一緒にいたら、それは単に親がお年玉を預かっていたり、貯金をしているのとは違う価値観が生まれてくると信じています。
そしてそれは自分で自分の未来を切り開いていく力に繋がっていくと考えています。
子供は賢い
自分もそう言いながらも最初はどういった反応をするかな、、、と思っていました。
そしておもちゃ売り場に連れて行った時、確かに最初はあれもこれも欲しいとなっていました。
しかし「ゆっくりとお買い物をしようね。いそがなくて大丈夫だよ。」
そういった声かけをして色々なものを見ていると、おもちゃ売り場の広大な敷地にある数々の魅力的な商品に
「うわー!」と歓声を上げて、その時間を 思う存分楽しんでいる娘の姿がそこにありました。
そして欲しいと思ったものは小脇に抱えているけれど、もっと欲しいものが出てきた時にはそれを元の棚に戻し、選別するという作業を自ら行っていました。
そう、自分で抱えきれないほどのものは選ばないのです。
彼女が選んだおもちゃは・・・
いろいろと本人なりに悩んだ挙句、彼女は二つのおもちゃを手にしました。
一つはアンパンマンのパソコン。
そしてもう一つはリカちゃん人形の種類であるみさきちゃん。
お買い物がおわったら、早く遊びたいから
「早く帰ろう!これで一緒に遊ぼう!」と元気に教えてくれました。
1月2日にお買い物に行って、それ以来どこに行くにもこの二つは自分でリュックにいれて持ち運んでいます。
なぜか。
もちろん自分が選んだものだから、それで遊びたいというのはありますが、それだけではありません。
自分が選んだものを、大好きな人たちに見せたい。
自分で選んだんだよということを伝えたい。
そういった欲求が彼女の中に芽生えています。
その自分で選んだ大好きなおもちゃを、大好きな人たちと一緒に遊びたい。
その気持ちがあるから、どこに行くにもそのおもちゃを自分のリュックに入れて、自分で持ち運んでいます。
これは誰かに与えられたおもちゃであったり、もっと安いものにしなさいと言われて妥協して選んだものであったならばそうはなりません。
彼女は自分が本当に欲しいと思ったものを自らの意思で手に入れたのです。
死に金ではなく生き金にする方法
お金には2種類あります。死に金と生き金です。
この使い方を知っているかどうかで人生に大きな影響を与えます。
こういった体験は、確実に成長に影響すると考えています。
単に商品との交換だけで考えるとお金というものは生きた使い方になりません。
しかし今回自ら選んで自らが欲しいものを選び手に入れる、という行為を彼女がやりきったために、先述したようなこ彼女の中に芽生えた「見せたい」「共有したい」という気持ちや行動といった二次的な効果や影響というものが生まれています。
そして彼女が嬉しそうに大好きな人たちに、自分が選んだおもちゃを見せてお話ししている姿を見ていると親である僕の心も満たされました。
これが生きたお金の使い方。
自分が望んだものを手にすることで、周りのひとも笑顔に出来るってすごいことですよね。
これこそが正しいお金の使い方。
お金とニュートラルに向き合える人生を
彼女は3歳にして既にお金というものは単に物々交換のツールではないということを学びました。
これから先、まだまだ色々と伝えなければいけないこともあるし、時には間違いを犯して無駄遣いをしてしまうこともあるでしょう。
それでも、お金を使うことにワクワクしてほしいと思うのです。
お金というものは良いものだということ。
自分がほしいと感じているものや、やりたいと思っていることを実現可能にしてくれるそんな素晴らしいツールなのだということを。
扱い方は間違ってしまえば道を踏み外してしまうこともありえます。
その道の整備は親の役目だと考えています。
お金というものを特別視せず、またむやみやたらに怖がったりすることも、不安に思うこともせず、ただ単にニュートラルにお金と向き合える、そんな人生を彼女には歩んでほしいと思うから。
これは親である自分自身も同じことが言えます。
親である自分がお金に対してニュートラルに向き合えていなければ、何の意味も持たないから。
お金を扱う楽しさを覚え、周りの人を笑顔にするお金の使い方を覚えた彼女。
これからが楽しみです、また親としてどういったことを伝えていけるのかとても楽しみに考えられるお正月となりました。
それではまた
森部高史