*妻に乳がんがあることがわかり、そこで体と心を繋げる専門家として仕事をしていること、そして夫としての立場から乳がんについて思うこと、知っていてほしいことを書き綴っています。
なお、ブログ本文中では「ガン」のことを「ぷるっぽん」と記述しています。「がん」という響きはあまり心地よくないので。
なぜ「ぷるっぽん」なのかはこちらをどうぞ。
今日、4月21日は妻の2回目の投薬でした。
3月17日にぷるっぽんがあることを告げられ、3月31日に初回の投薬。
この1ヶ月は何だかわからない間に進んでいました。明後日は法人設立からちょうど1ヶ月になります。彼女とともに成長していく、そんな流れなのでしょうね。
そんな普段の流れとは違う1ヶ月で、どうやって過ごしてきたのかわからないくらいですが、ひとつだけ、僕達夫婦の間に絶対に忘れないことがあります。
それは、こんなにも多くの方々に支えていただいているのだ、ということ。
妻がぷるっぽんのことを公表してからというもの毎日のように妻や僕のもとに連絡を全国各地から連絡をくれました。たくさんの想いの詰まった贈り物が届きました。
本当にありがとうございます。
投薬直後の数日は妻もなかなかしんどそうではあるのですが、1週間を過ぎてからはかなり元気になり、パッと見はわからないくらいです。
毎日の話題、ぷるっぽん
毎日のように、妻の身体に同居している「ぷるっぽん」のことが会話に出てきます。
本当におすすめです、「ぷるっぽん」というように違う名前をつけること。話ができないとやっぱり苦しくなっちゃうから。(それでも妻が抱える不安はおおきなものではありますが)
こうやって、話が普通にできるのは「ぷるっぽん」と呼び始めたからだけではなく、早期の発見だったから完治の見込があることは大きいです。
公表し、ブログでお互いに発信しはじめてから、多くの方から「検診の予約を入れました」「妻にも聞きました」という声を頂いていて、それが僕達夫婦にとってこういった行動が意味のあるものだったということを教えてくれてとても勇気づけられます。
そして、ぷるっぽんと向きあえているもう1つの理由は、最初の段階で感情を抑えつけなかったからだと思います。
身体と心の専門家だから言います。「辛い、苦しい時は泣けばいい」
ぷるっぽんがいることがわかり、これから治療に向き合っていくことが決まり、まだ1歳半で卒乳していない娘と向き合っていくなかで、3人が3人共苦しい胸の内があり、その日の我が家は夜にどれだけの音量で涙を流したのか、というくらいに泣きました。
3人で泣いた時間もあれば、娘はともかく、妻も僕も一人で各々の時間と場所で泣いていました。
こんなに涙が出るのか、っていうくらいに泣きました。こんなに自分の中に虚しさや無力さがあるのか、というくらいに泣きました。なぜ?なんで?という思いも共に泣きました。次の日は泣きすぎて頭痛がするくらい泣きました。
悔しさや不安、焦りなど色々あります。でもそれも全部ひっくるめて泣き続けました。
泣きつくしたら、もう後は前を向いて進むしかありません。一番つらいのは、ぷるっぽんと向き合わなければいけない妻ですから、僕は僕でニュートラルにいること。これは普段からクライアントの皆さんにお伝えしていることでもあります。それを自分が当たり前のこととして実践すること。
これも泣き尽くしていなかったら、我慢して男であろうとしていたらできないことです。
時に男の人は、こういう状況で感情をどう扱っていいのかわからないから、パートナーに強くあたってしまったり、話を聞いてくれなくなってしまったりすることがあるようです。
それではみんな傷ついてしまいます。
全部だきしめて、泣いてしまえばいいのです。
泣きはらしたあとに妻とした【2つの約束】
散々泣いた後に、妻に2つ約束をして欲しいと伝えました。
ひとつはぷるっぽんに関することで【絶対に謝らないこと】。
なぜならこれは誰のせいでもないから。謝るのではなく、こんな時だからお互いに感謝しながら日常を見つめ直し、日々できることをやっていけばいいから。
そしてもうひとつは、【一人で背負い込まない】こと。
夫婦だからと言って全てを理解することは難しいし、全てを伝えなくてはいけない、ということではないのかもしれません。でもせっかく夫婦でいるのだから、二人で荷物は背負えばいい。そのほうが僕も楽だから。
妻はこの2つの約束をとても良く守ってくれています。
全てがスムーズに行っているのか、お互いにとって一番良い形で進んでいるのかはわかりません。至らない所もそれはあるでしょうし、周りの支えがあるからこそ、できていることも多いです。
本当に多くの方の支えによって、僕達夫婦はこの状況と向き合う事ができています。
今はただ、投薬直後の気持ち悪さや身体の倦怠感が早く抜けてくれたらいいな、と側にいて思うだけです。
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それではまた
森部高史