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セミナー

妻がガンになりまして:その9「お金の話」

*妻に乳がんがあることがわかり、そこで体と心を繋げる専門家として仕事をしていること、そして夫としての立場から乳がんについて思うこと、知っていてほしいことを書き綴っています。

なお、ブログ本文中では「ガン」のことを「ぷるっぽん」と記述しています。「がん」という響きはあまり心地よくないので。

なぜ「ぷるっぽん」なのかはこちらをどうぞ。

前回のエントリーはこちら


愛する人が病に侵されていると知った時、あなたはどうしますか?
何が出来ますか?

すぐに仕事の調整がつき、側にいることができますか?
必要な医療にかかるお金の全てを準備することができますか?

愛する人ではなく、自分の身に起こった時はどうでしょうか。
いままで、自分の生活を支えてきた収入を得ることはできなくなります。

そう、病と向き合うためには、絶対的にお金が必要なのです。

妻が乳がんであるということがわかってからの歴史を書き記している【妻とぷるっぽん】シリーズ。

今回は治療にかかる「お金」について考えていきます。

ぶっちゃけ一体いくらかかるの?

相当かかります。

ステージによっても異なりますし、そのガンがどういった種類のものか、そしてそれに対する治療法(手術方法【部分or全摘】、再建手術のあり、なし、使用する薬の種類、放射線治療の有無、などなど)によって大きくことなります。

一般的にいって、手術だけでも60−100万円を越えるほどかかりますし、抗がん剤も一回の投与で2−5万円位かかります。また、抗がん剤を使用していると白血球の数値が下がるのでその減少を抑えるジーラスタも1回2−3万円。

どういったスケジュールでの投薬によるか、にもよりますが、そこでもトータルで同じ位の金額が必要となります。

もちろん、それ以外にも受診料、各種検査費用(血液検査、エコー、など)、その他の薬代もかかります。

 

大まかな費用に関しては、こちらのサイト【がん治療費.com】が参考になるかと思います。

医療機関、ステージや治療方針により異なる所もあるでしょうが、1つの目安としても思っている以上に費用がかかるというのが正直な感想ではないでしょうか。

 

さらに、当然とえいば当然ですがステージが進行していればしているほど、かかってくる医療費も高額になる傾向があります。

生存率という点からももちろんですが、こういった経済的負担の点からも早期発見はやはり大切になります。

他にもこんな費用が

交通費

意外と馬鹿にならないのが交通費。

もちろんこれは、年末の確定申告で医療費控除の際に申請できますが、申請できるのは基本的には公共の交通機関(電車・バス)。厳密に言うとタクシーは「タクシーで通院する合理的な理由」(公共の交通機関が動いていない深夜など)がなければならない、ということのようです。とはいえ、かなり考慮されることもあるかと思うので詳しい点は専門家(税務署・税理士)に相談してください。

ちなみに自家用車での通院におけるガソリン代は申請できません。

ちりも積もれば、でなかなかの積み重ねになります。

その他治療費

例えば、ガン以外に持病がある場合にはその費用もかかります。
病と向き合うことは大きなストレスですから、例えばアトピーなどをお持ちの方は悪化してしまうこともあるようです。

そうすると、ガンに対する以外の医療費もかかってきます。

 

また、抗癌剤治療を継続しておこなうことで、副作用として痺れやむくみと言ったものがあらわれることもあります。

そういったものを軽減させるために、鍼治療やマッサージ、各種ボディーワークや適切なトレーニングなどを受けてより良い状態で治療に望むということも大切なことになりますが、それにも当然費用がかかりますし、当たり前ですが自費になります。

食費

意外に思われるかもしれませんが、外食が増えます。それは本人も、他の家族も。

それは治療している本人の場合、検査や投薬で一日中病院にいることになるので、多くの場合病院内、もしくは病院近隣で食事を済ませることになります。

お弁当つくればいいって?

多分、そんな余裕を持てる人はほとんどいません。(もちろん自分はできるよ、という人はぜひやったら良いと思います)。

また、家に残っている家族が料理できればまだ良いですが、家に残る人たちが料理出来ないとなると、、、家計としての外食費はそれなりにかかってきます。

これは個人差が大きいと思いますが、匂いに敏感になっている時もあるので、家の中での調理を少なくする時期も我が家はありました。(僕は料理をしますし、好きです)

忘れたくない機会損失

これは何もガンに限らないのですが、なぜ健康でいたいのかといわれたら、自分が楽しみたいことを存分に楽しむため。

「健康が全て」ではないですが健康を失うと全てを失います。

 

やりたいことがあるのに、できない。

これはまた、もどかしい時間となります。

 

ここまで金銭的な面でのお話をしてきましたが、働く時間が制限される、または働けない時間ができるということはその間の収入も減少することになりますし、個人事業主として働いている場合は一切の収入がなくなることにもなります。

なかなか集中して物事に取り組むこともできません。そこがまた苦しい時間にもなります。

 

なってしまった時は、いち早く回復するように、向き合っていかなければならないことではありますが、ならないことが一番ではありますが、ガン全体で言えば2−3人に1人がガンになる時代です。

誰にだって起こりうる、だからなってしまったのなら早く見つける。早期発見すれば怖いものではありませんから。

支出を抑える為に知っておきたいポイント

前述してきたように、治療にお金はかかります。

自分の、そして家族の命のためならお金のことは考えることなく使いたいですよね。

とはいえ、いきなり数百万円の支払い請求を、何の問題もなくぽーんと払える人のほうが少ないでしょう。

だからそんな時に知っておいてほしいことが2つあります。

限度額適用認定証保険の見直しです。

限度額適用認定証について

医療機関などでの月の支払いが高額になった際に、後から申請して自己負担額を超えた金額が払い戻される高額療養費制度があります。しかし後から支払いがされるとはいえ、窓口で数十万円から数百万円を用意するというのは簡単なことではありません。

しかし、事前に区役所で申請をし、限度額適用認定証を入院時の手続きで病院に提示していいれば、自己負担額が制限されます。

自己負担額については、収入から起算されます。現在(平成29年)時点では区分が5つに分かれていますが、最も収入が多い区分の年収約1160万円〜でも、自己負担限度額は140,100円になります。

年収約770万円〜約1160万円の間であれば、自己負担限度額は93,000円。これは一時的とは言え、数十万円や数百万円のお金を用意しなければならないことを考えると助かりますよね。

平成27年度からの高額療養費制度における自己負担限度額。
出典:厚生労働省資料

実際の区分や、自己負担限度額については申請した際にお話をして頂けると思いますので、自分で一生懸命計算しなくても大丈夫です。どんなに自己負担が多くても140100円なんだ、ということを知っておくだけでも安心できるのではないでしょうか。

因みに70歳以上と、70歳未満ではことなります。上記の図は70歳未満の方に対するものです。

厚生労働省から【高額療養費制度を利用される皆様へ】というPDFが配布されています。

 

なお、この医療費には個室におけるベットの差額代などは含まれませんし、その他にも適用されないものはあります。そういったことも申請した際にご説明いただけるので、まずは手術・入院が決まったら申請をして、病院手続き時には忘れずに限度額適用認定証を持参しましょう。

申請方法

国民保険と社会保険で異なります。

国民保険の場合

お住まいの市区町村役場、国民健康保険課で申請をします。その際に保険証を忘れずに持参しましょう。

ご家族の代理の際には委任状とご本人の印鑑も必要となることがあるようです。このあたりは市区町村により細かな違いもあるようなので、申請の前に一度必要なものを確認されることをおすすめします。

社会保険の場合

お勤めの会社によっては、会社で手続きを行う所もあるので総務課、もしくは健康保険の担当者に問い合わせとなります。

個人での申請でされる場合は、最寄りの全国健康保険協会都道府県支部で申請を行います。

必要書類

  • 窓口に来た方の身分証明書(運転免許証、パスポートなど)
  • 限度額適用認定証を必要とされる方の保険証
  • 代理の場合には委任状、及びご本人の保険証
  • マイナンバーカード、または通知カード
  • 印鑑
  • 申請書(用紙を窓口でも記入できます)

市区町村により細かな違いがあるようなので、お住いの地域役場のホームページやお電話でご確認ください。郵送で受け付けている所もあるようです。
一例として、世田谷区の場合はこのような感じになっています。

覚えておくべきことは、どのような入院・手術であっても、まずは限度額適用認定証を申請し、入院手続き時には病院の窓口で提出をする!ということ。

保険の見直し

保険に入っているという方は少なくないと思いますが、その見直しはおこなっていますか?

医療の世界は日進月歩です。

例えば抗がん剤の投薬においても少し前は入院が毎回必要でしたが、今では通院して行う形も多いです。(我が家も通院)

その際、保険の内容によっては、抗がん剤をカバーすると書いてあっても実は入院の場合のみ、ということもあるようです。また癌の種類によっても支給されるもの、されないものといったこともあります。

診断された時に一時金として支払われるタイプのものもあれば、入院何日目から、というものまで多種多様ですし、医療の現場での変化に対応するべく新たな保険商品も発売されています。

ここ数年見直しをされていない方は、一度保険の担当者の方と、保険の見直しのお話をされることをおすすめします。

こういった話を9月9日(土)に行います。

今年の6月に行ったセミナー【乳がんから私を守る】には、多くの方にご参加をいただきました。

その時の様子はこちら

講師の高溝さんは、自由が丘のサロン atelier Frangipan で医療用ウィッグを提供し、ウィッグのお手入れやネイルなどのお手入れをして日々がん患者の方と向き合い、勇気を与えていらっしゃいます。

高溝さん、ご本人も癌サバイバーでもあります。

プロフィール:

美容師歴 30年(1999年~2006年は、美容学校教員)
ネイリスト歴 7年

現在、自由が丘にネイルとまつエクのプライベートサロンを運営する傍ら、
抗がん剤治療で脱毛に苦しむ方に、医療用ウィッグを製作する
患者さま専用美容室を運営。

2017年1月に、がん患者のアピアランスケアを行う美容関係者の団体「ikus.医療美容ケア研究会」を発足。
代表を務め、患者サポート及びがん患者のアピアランス技術の普及活動を行う。

また、首都大学がん看護認定看護師コースにて、毎年「抗がん剤による爪への副作用」と題した講義を看護師向けに行っている。

病歴
2006年に卵巣がんと診断され手術→卵巣腫瘍境界悪性&原発不明がんと診断
2007年に左乳がん告知→左全摘出手術→2010年にお腹の脂肪を使った自家組織による乳房再建手術を受ける

2016年~2017年 キャンサーネットジャパン主催の乳がん体験者コーディネーター(BEC)の資格を取り、SMash BEC設立。ピアサポート活動に力を入れている

当日は、前述のような内容に合わせ

  • 乳がんってどんな病気
  • 乳がんのリスクって…
  • 乳がん検診の落とし穴
  • 皆さんが今、出来ること

などのお話をしていただきます。

また、僕も家族に乳がん患者を持つものとして、お話をさせていただきます。

前回の開催時、参加していただいた皆さんは女性でした。

もちろん乳がんですから、女性のリスクのほうが高い(男性もなりえます)。その時どうする、ということは経験者でなければわからないし、側にいるパートナーだからこそ知っておいて欲しいことがあります。

家族は「第二の患者」と言われます。

ぜひ、パートナーの方と一緒に起こしくださればと思います。

開催詳細について

【乳がんからわたしと家族を守る】

  • 日時:9月9日(土)14:00-17:00
  • 定員:30名
  • 場所:
    国士舘大学 メイプルセンチュリーホール
    5F 会議室
    詳細はこちら
  • 参加費(税込):
    (お一人様)一般3,500円 リピーター2,000円
    (ペア割引)一般2名で5,000円 リピーターさんとそのお連れ様2名4,000円※リピーター:6/24の【乳がんから私を守る】にご参加いただいた方
    ※ペアは、男女問わず、ご家族でもお友達でも、大切な方とお越しください。

お申し込みは8月9日(水)20:00より
こちらのページよりお申込みください。

それではまた

森部高史


ABOUT ME
森部高史
株式会社Pono Life代表取締役。Kukua Body主宰。アメリカ在住時でATCとしてトップレベルアスリートのケアにあたる。数少ないロルフィング®の資格を持ち、クライアントの身体と心のバランスを整え人生に寄り添い、「先生」と呼ばれる治療家やセラピストを指導する立場にもある。その人柄と結果を導くセッションと講座には全国から参加する人が後を絶たない。現在は自分の知識や経験をオンライン化していく方法を個人事業主や小規模法人経営者に伝えている