一人でも充分幸せに生きていける時代。 だからこそ、一緒にいたいと思った人と人生を歩むことができたらどんなことが起きるのだろうか。
最近はオフィスでの5周年感謝祭や、自宅に多くの人が集まってきてくれています。その様子を見て
「美香さんの(闘病の)様子が落ち着くのをみんな待っていたんだね」と言ってくれた仲間がいました。とても嬉しく、ありがたいです。
そういった集いの中で、30前後の若手から「結婚ってどうですか?」と聞かれる機会も増えています。
僕の答えはいつも決まっているのですが、それは最後にお伝えするとして、大前提として別に結婚が全てではない、ということもお断りしておきますね。
結婚ってどうなのよ?
もちろん、他人が一緒になるわけだから思い通りに行かないことだってたくさんあります。
かく言う我が家も、どちらも30代中盤まで好き勝手にやってきていたので、一緒に住み始めたら大きなことから小さなことまでズレが色々あって、お互いにイライラしているような時期もありました。
自分にとっての当たり前って、相手にとっての当たり前と思ってしまうのですが、本当はそうではないんですよね。ですが、そんな当たり前のことすら、わかっていない新婚生活でした。
それもそうですよね、先にも書きましたが自分に至っては大学を卒業してから一人暮らしして、教員というある程度自分中心に仕事ができることをし、その後アメリカに渡り学生に戻って、あの主張の強い国で叩き上げてきたわけですから。
我儘に生きてきました。
だからその中で、それまで他人として生きてきた人と一緒になるっていうのは大変な側面もあります。
中学生位のころに、父に言われたのは
「結婚は幸せにしてくれる人と一緒になるもんではない。これから起こりうる苦労を共にしていける人とするものだ」。
この言葉は当時、結婚と言うものに対して何も意識していなかった中学生の僕の心にすごく残っています。
とはいえ、良いこともたくさんあります。
- 家に誰かいてくれる安心感
- その日にあった良いことを分かち合える
- 時に苦しい時も話を聞いてくれる
- 一緒に何ができるのか、楽しみが増える
あれ?って思いましたか?そうなんです、これらって結婚しなくても育めるものなんです。
だから、先に言ったのです、「結婚が全てではないです」って。
それでも僕は結婚してよかった
それでも僕は、「結婚してよかった」と思っています。
単純に言うと、「家族を築く」という覚悟を決めさせてもらえたから。
結婚をしたのは、アメリカから引き上げ日本でこれから個人事業主としてやっていく、という時期でした。
仕事に関しては、自分ひとりだけを食べさせていくということであれば、この日本であれば何をやっていたって飢えるようなことはないのですから、簡単なことです。
幸い自分は、アメリカで培ってきたATCとしての知識や技術もあれば、ロルフィング®の技術や知識もありましたから、それはさほど難しいことではありませんでした。
しかし、結婚して家族とともにとなると事情が変わってきます。
もちろん、妻もプロフェッショナルとして立っている人ですから、「自分が養う」なんて考えはもつ必要は全くなく、お互いが好きな仕事をきっちりとやっていけるにはどうしたら良いか、という環境整備が必要でした。
そして、少し長い時間軸で人生を設計していく、という作業も結婚をしていたからこそ、僕の場合はできたことです。
結婚をすることで、自分以外の視点から考える軸が増えた
この増えた軸が自分の人生を豊かにし、自分自身を成長させてくれました。
さらに、娘が生まれたことにより、また異なる軸ができ、さらには僕も夫としての軸と父としての軸、妻も当然母親としての軸が生まれます。
自分が多軸になっていく。
そうすることで、何かやりたいことがあった時、または困難に見舞われた時に、それぞれの軸がある中でどういった決断をし、結論を導き出すのか。
その考え方と行動というものは、僕は結婚をしなければ生まれませんでした。
そう、僕には。
これが結婚というプロセスを経なくても出来る人もいるのだと思います。
でも僕は、そういった状況に身を置くことによって、ようやくそういったことが出来るようになり、違うステージに立つことができました。
そのお陰でステージが変わっていった、ということが言えます。
結婚していなかったら、確実にもっとちゃらんぽらんに仕事をしたのだろうな、と思います。自分を支えるだけであれば、そんなに頑張らなくてもできるので。
そんな自分だから、今の妻と結婚することで学ぶ事がたくさんあり、父親になることで、その役割の中から学ぶことを与えられ、さらに妻がぷるっぽん(乳がん)になることでまた、新しい軸が与えられる。
それによってステージが確実に変わりました。
繰り返しですが、僕の場合、です。
自分以外の軸が生まれたことで、考えなければいけないこと、チャレンジしなければならないことが目の前に突然表れて、それに対処している間に階段を登っていたと言う感じでしょうか。
これは、結婚していなくてもできる人はたくさんいるのだと思います。
ただ、僕は伴侶を得たことでその階段を登ることができたということ。
一緒にいられる安心感、絶対的な味方でいてくれる存在がいるからこそ、安心してチャレンジし、喜びも分かち合え、傷ついたときには癒やしてもらえる。時にぶつかる時もあるけれど、だからこそ新たな局面に向かうこともできる。
うん、ここまで書いてきてもやっぱり結婚していなくても、これらのものを手に入れることはできる。
でも、自分には、他でもないこの人との結婚だったんだよ、自分の人生を更に楽しく豊かにしてくれるのは、っていうお話。
「まだ不安定だから、、、」といって結婚に踏み切れないという人も多くいますが、それって結局ただの言い訳。
だって安定なんてないですから、この世の中に。
自分が本気でその人と人生をともにする覚悟があるか、だけです。
一緒になったほうが腹が据わる、ということもありますよ。もちろん、その前に腹は据えていてほしいと思いますが、実際一緒になると、その中で学んでいくことも本当に多いから。
あまり、既婚男性でそういう人がいないという声も若手から聞いたので声を大にして言っておきます。
「結婚、いいものですよ。」
それではまた
森部高史